最近一緒に居る事が多くなった。
自分にとって、嫌な事ではない。
寧ろ、嬉しい事なんだと思う。

「シンジ、あそこのクレープ美味そうじゃないか?」
「甘いものは嫌いだ」
「とか言って食いたいんだろ?」
「それはお前だろ」

バレたか、と言うように苦笑いをすると
自分の腕を引っ張りながら、クレープを買いに行く。
美味しそうに頬張るが、実際に食べると言葉に出来ない。
取り敢えず、ブラックコーヒーを勢いよく飲み干したくなる。
と、だけ言っておこう。

クレープを綺麗に平らげると、満足気に笑いながら

「甘いものが苦手とか損してるよ」
「悪かったな、損してて」

という会話をした。
正直目の前に居るコイツだけでお腹が一杯になるほど
さっきから食ってばっかりな気がしてしょうがない。
しかも、甘いものばっかり。
将来が少し不安になるな・・・これは・・・。

「そうだ、シンジ。俺デパート行きたいんだ!」
「何かあるのか」
「ちょっとな」

行く宛てが無いよりはマシだと思い、デパートへ向かう。
1階から、順番ずつ見ていく。
ふと1件のアクセサリーショップに入るアイツ。

「あ、シンジ、ちょっと買い物長くなるかもしれない」
「俺は疲れたから、屋上でジュースでも飲んどく」
「なるべく早く済ませるよ!」

手を合わせて、ごめん、と付け加えて、店内を見始めた。
そんな姿を少しだけ見て、屋上へ向かう。

適当に選んだジュースを飲みながら、ふと考える。
アクセサリーなんて選んで誰にあげるんだ。
明らかにあそこは女物じゃないし。
幼馴染の研究者か?それとも―・・・。
心当たりが多すぎて、考えがまとまらない。

「なんでアイツの周りは、そういう奴が多いんだよ・・・」

項垂れる頭を抱えつつ、ジュースを飲み続ける。
気付けば、コップの中身は空だ。
はあ・・・とため息をついたと同時に

「悪い!終わったよ、ごめんなぁ、待たせて」
「別にいい、もう用は終わったのか」
「ああ、ばっちし終わったぜ」

嬉しそうに笑うコイツを見ると、余計に考えてしまった。
自分用でつけるのか?絶対似合わないだろ・・・。
やっぱり―・・・

「はい、これ」
「え」
「だから、これ」

小さな袋を渡された。
袋のロゴを見る限り、先ほどのアクセサリーショップの物だ。

「まあ、それは家に帰ってから開けてくれ」
「今は駄目なのか」
「恥ずかしいだろ!だから、な?」
「・・・分かった」

元気よく手をぶんぶんと振るアイツを見送って
いつもより早い速度で家に帰った。
カバンをベッドに放り投げて、ソファーに座る。
早速アイツからもらったプレゼントを見ることにしよう。

「ネックレス?」

アイツにしては、そこそこいいセンスしてるな。
テーブルに置いていた、小さな袋が落ちる。
すると中から紙が出てきた。

「・・・?」

『シンジへ。
 今日は、付き合ってくれてサンキューな。
 いつも付き合ってくれてるお礼だ!
 気に入ってもらえるかは分からないけど、大事にしろよな。
 何も言わないで、いつも一緒に居てくれるシンジが大好きだ!
 サトシ。』

いつもよりも少し丁寧な字で書かれた言葉。
口元を片手でおさえる。
手紙を大事に袋にしまい、ネックレスをつける。
ふっと笑うと

「・・・手紙に書かずに・・・」

ゃんと口で言え(2009/08/16)